第3章 新しい世界
千「び、びっくりしました…ですが、あの…っ…桜さま…………ち、近いです…。」
「…あっ…ご、ごめんなさい…。」
慌てて千寿郎くんを見るとぎゅっと目を瞑って赤くなっていた。
(やっぱりかわいい…この表情、弟に似てる……。)
そう思いながらも、千寿郎から一歩離れる。
そして愛おしそうに目を細めながら、軽く首を傾げた。
千寿郎はおそるおそる目を開けると、改めて桜を見てぽーっとしながら頬を赤くした。
千「猫のお姿もそうでしたが、本当にお綺麗ですね…。」
(わ、綺麗って言われるの珍しいかも……嬉しい…。)
ストレートな言葉に桜は照れながらも、可愛い事を言ってくれる千寿郎を抱きしめたくなる。
元々弟を溺愛していた桜は目の前の少年が既に可愛くて仕方なかった。
(でも嫌がることはしちゃだめだ…!)
そう思うと桜は頭をふるふる振り、代わりに頭をそっと優しく撫でた。
「ありがとう。そんな事言ってくれるなんて嬉しいなあ。」
そう言う桜の頬は緩み、幸せな気持ちが溢れて目に見えてしまいそうな笑みを浮かべた。
千寿郎はまた赤くなったが、嬉しそうな顔をしながら少し俯いている。
(…ふふ、可愛らしい………。)
そんなやり取りをしているときだった。
「ただ今帰りました!!!!!」
窓ガラスが割れそうなくらい大きな声が響いた。