第18章 同僚への相談
その言葉に天元はゆっくり振り返る。
天「……桜?今話してた娘の事か?…は?家にいんのか?お前、家族と住んでたよな?」
天元は矢継ぎ早に訊いた。
杏「ああ!先程話していた想い人が桜だ!縁あって今俺の家で暮らしてもらっている!」
そして少し視線を外すと、眉を寄せる。
杏「いずれ君とも会うだろう。鬼殺隊に協力する事になった女性だ。」
天「……は。」
天元は質問したい事が更に増えて固まった。
杏「その話は柱合会議でお館様から聞いてくれ!近々開かれる筈だ!」
杏「今は口説き方を教えてもらいたい!桜の覚悟が決まるまで待つつもりだが、じっと待っているつもりはない!しかし、やり方が分からない!!」
呆けていた天元は段々と面倒臭そうな顔になる。
その顔を見て杏寿郎は僅かに眉尻を下げた。
杏「…頼む。本当に大事な女性なんだ。」
そう言う真剣な目を見て天元は再び溜息をつく。
天「わーったよ。まあ、一緒に住んでるなら夜這いでもすれば良いんじゃねーの?既成事実作ればその娘も覚悟せざるを得ないだろ。」
天元はからかうような意地の悪い笑顔を浮かべてそう言った。
だが―――、
杏「夜這いも何も、毎晩同じ布団で寝ている。」
天「………は?」
からかいに返ってきたのは予想外な返事だった。
天「…合意の上で?振られたんじゃねーのかよ。」
杏「む……、そういえば、いつも俺が抱きかかえて自室に連れ込んでいたな。」
天「お前…自分で処理する方法もこの間まで知らなかったくせに なに純情そうな顔してんだよ…。」
天元は、桜が交際を断ったのにもかかわらず毎晩自慰もしない杏寿郎に部屋へ連れ込まれて、犯され続けているのだと勘違いをした。