第17章 覚悟と誠意、新しい関係
杏寿郎は桜が自分を受け入れた事に目を大きくする。
だがすぐに桜の顔を見てそれが何を意味するのかを悟った。
杏(…俺の意思に応えようと頑張ってくれているのか。)
そう思うと愛おしさが溢れ、杏寿郎は桜の頬を優しく愛でるように撫でた。
杏(脈がない訳では無い。桜の覚悟が出来るまで、俺は俺に出来る事を誠意を持って続ければ良い話だ。)
そう思うと杏寿郎は思考を切り替え、明日に備えて寝る為にパッと顔を離す。
そして桜を横抱きにし、布団に優しく下ろすと自身も入りバサッと掛け布団を被った。
「…っ!…あ、の……さすがに…この話の後で同じ布団で寝るのは……、」
その言葉を遮るように杏寿郎は桜の頭を撫でる。
杏「許可も取らず口付けてすまなかった。決して襲ったりはしない。ここで寝てくれないか。」
相変わらずストレートな言葉に燃えるような瞳。
桜は暫くその綺麗な瞳を見つめていたが、やがて視線を落とすと小さく頷いた。
(この状況で下心が全くない目になれる杏寿郎さんってすごい…切り替えの速さ…経験を積めば身につくかなあ……。)
桜の力が抜けたのを確認してから、杏寿郎は優しく抱き寄せる。
一方桜はぽかぽかとした心地の中、目を閉じた。
(……早く応えられるようになりたい…この行為も、いつか恋人として…………。)
その未来を願うように桜は再び杏寿郎の背に手を回した。