第97章 【番外編】花火大会
義「今日は一ノ瀬と2人きりでないと嫌だからと誘いを断ったのは煉獄だろう。」
杏「…………………。」
敢えて言わずにいた面々は口を結んで2人を見つめた。
しかし―――、
「杏寿郎さんは『今知った』と言った筈です。杏寿郎さんがそんな子供っぽい嘘をついたなんて言わないで下さい。大正時代の杏寿郎さんとは違うんですよ。」
事情を知らず、そして杏寿郎を信じきっている桜は眉を顰めて義勇に噛み付いた。
義勇は表情を動かさずに更に首を傾げる。
義「だが、」
「だがも何もないです。どうして冨岡先生は杏寿郎さんを困らせることばかり言うんですか?黙っていましたがこの間も、」
天「桜、ストップ。煉獄、お前も止めろ。お前の嫁だろ。」
「むぅ。止めないでくださいよ…。」
杏「桜、ありがとう。だが冨岡も悪気が無いのだろう。俺の言動が何か紛らわしかったのかも知れない。」
天「お前な……。」
天元はいけしゃあしゃあと言い切る杏寿郎の柔らかい笑みを見てげんなりとした。
桜に噛み付かれた義勇は行冥に慰められている。
蜜「どういう事なのかしら…。」
蜜璃は理解しきってはいなかったが、口出ししようとも思っていないようだった。
そんな蜜璃に小芭内としのぶが事情を説明する。
蜜「まあ!煉獄さんったら可愛らしいわ…!」
し「可愛らしいと言うより厄介な人だと思いますよ。」
小「悪い奴ではないんだが、一ノ瀬の事となるとどうも調子を崩す。大正時代、一ノ瀬の写真を見ながら長い間1人でいた為に拗らせたのだろう。」
し「それは確実にありますねえ。」
蜜「可愛らしいのに…。」