第97章 【番外編】花火大会
「あれ?皆さんご一緒だったんですか?」
ひょこひょこと行冥の巨体から顔を出す面々に桜は首を傾げた。
すると皆の視線が杏寿郎へ移る。
追い詰められた杏寿郎は笑みを浮かべたまま冷や汗を流していた。
桜の前では余裕を持った正しい大人でいたかったからだ。
しかし、放っておけば自身が独占欲から嘘をついたことが容易にばれてしまう。
杏「ああ!そのようだな!!今初めて知ったが!!」
蜜「…え?でも、宇髄さんが、」
杏「それよりも君達も見たのだろう!見事だったな!!特に最後の花火の迫力は目を見張るものがあった!!」
「杏寿郎さん、どうしたんですか?なんだかおかしいです。」
桜は困った様に首を傾げると改めて皆に向き直った。
「こんばんは。お休みに入ってからご無沙汰になってしまった方もいらっしゃいますね。お元気でしたか?」
天「元気だけどよ、お前、」
杏「元気で何よりだ!!他の皆も元気なようだな!!では失礼する!!!」
天「どこに失礼すんだよ。行き先は同じで道はどん詰まってんだろ。」
杏「タクシーを拾う予定だ!今度こそ失礼する!桜、行くぞ。」
「え、え、皆さんまた…!!」
2人を見つめる蜜璃と義勇はぽかんとし、しのぶと小芭内は事情を察して溜息をつき、行冥は相変わらず涙を流して天元の嫁達は興味深そうな顔をしていた。
しかし、ここで義勇が首を傾げながら口を開いた。