第95章 続々と
天「かぜ引いたほうが "おんならしい" んじゃねーの?普通は、」
―――バシャッ
慶「む"ッ」
悠「彩火!!」
負けず嫌いの彩火は再び同じ事を言われると眉を顰め、禁止された水鉄砲の代わりに両手で水をすくって慶寿郎ごとずぶ濡れにさせた。
悠「彩火はふだんはこんな子じゃない!あまりしゃべらないが やさしい子だ!何かしたのか!!」
天「してねぇよ!あのおとこおんなが先に水かけてきたんだって!!」
そう言って天満が彩火を睨もうと視線を遣った時、もう一度水をすくっていた彩火が何故かひとりでに酷く足を滑らせて後頭部を打ちつけそうになる。
が、打ちつける直前に縁側で見ていた杏寿郎が一瞬で駆けつけてそれを支えた。
杏「彩火。お前は桜に似ているのだから気を付けなくてはならないぞ。足元に水があれば必ず転ぶと考えておいた方が良い。」
彩「…………はい。」
天「え、……お前………ドジなの?そのかおで?」
そう呆気に取られたように問われると凛とした顔立ちの彩火の顔はぶわっと赤くなって眉尻は下がり、同時に恥から涙が滲みだす。
すると同じ顔の2人の兄は鬼の形相で天満を睨んだ。