第88章 関係の名称
「……えっ!今からですか?」
杏「うむ!早く君を直に感じながらゆっくりと過ごしたい!!」
その言葉に納得すると風呂前に降ろされた桜は大人しく服を脱いでいった。
杏寿郎は一糸纏わぬ姿に婚約指輪だけを付けた桜を見ると再び抱き寄せ、キスをしてから抱き上げた。
風呂に入るといつも通り互いの髪を仲良く洗い合い、体を洗うと逆上せない温度の湯船に入ってテレビを点ける。
「癒やされますねえ。」
杏「……そうだな。」
杏寿郎は桜の柔らかい体を後ろから抱きながら湧き上がる欲と戦っていた。
風呂では本当にゆっくりするつもりでいたのだが、裸の桜が目の前に来ると気持ちが昂っていたこともあり体が反応してしまったのだ。
しかし 桜の背中を刺激しようかとも思ったが、ゆっくりとした時間を優先して何とか耐える事に決めた。
そうして湯を足しながら映画を丸々1本見終えた。
(私は少しいけない気持ちになってしまったけど、杏寿郎さんのは少しも大きくならなかったな。……私の体、見慣れちゃったのかな…。)
婚約早々そんな杞憂をしながらバスタオルで体を拭いていると、桜より早く拭き終えた杏寿郎が桜を攫うように抱きかかえ、大股でキングサイズのベッドへと連れて行った。
「え、あのっ、」
杏「あの状況でよく最後まで観ていられたな。君が少しでも退屈そうにしていたらもっと早く切り上げられたというのに。」
杏寿郎は自身で『ゆっくりと過ごしたい』と言っておきながらそう言い放つとベッドに寝かせた桜の髪を丁寧に拭いてからバスタオルを床に落とした。