第78章 江ノ島観光
杏「案内を読んだのだが、どうやら部屋で入る場合はフロントに連絡をすれば良いだけの話だったようだ!君は夜にも汗をきちんと流したそうにしていたろう!!」
「わ、ありがとうございます…!急いで入ります!!」
杏「うむ!!」
桜が慌ててアメニティを受け取ると杏寿郎は当たり前のように付いてきて一緒にシャワーを浴びた。
(…………カルガモ……。)
杏「何故笑っている。」
杏寿郎にそう不可解そうな声を掛けられて初めて桜は自身が堪えきれずに笑みを洩らしていたのだと気が付いた。
「す、すみません。後にくっついてくるのが可愛くて…。もふもふなカルガモみたいだなって。」
杏「………………………………。」
「ごめんなさい、ごめんなさい!杏寿郎さんはいつも格好いいです!」
寄っていく眉を見て桜は慌ててそう言ったが まだ笑みを隠しきれていなかった。
杏「その可愛いとやらは本当に "好き" という気持ちの表れなのだろうか。俺は少しばかりからかわれているように思えてしまうのだが。」
「……うーん…。好きなのは間違いないですが…。」
(からかわれている、かあ。確かに少し小さな子を見るような気分にはなっているかも。)
言い淀む桜を見て体の大きな杏寿郎が狭い風呂で桜を捕らえるように壁に手をつく。
「あの!でも、本当に大好きだなあって思ってます!愛おしいなあって!」
杏「……むぅ。」
桜が本心を言っている事を瞳の色で判断すると 杏寿郎は大人しく桜を解放した。