第74章 ※力加減
次の日も次の日も、普通科クラスの授業を順調に行い、部活動も何事も無く指導を出来、桜は打ち上げで飲んで帰ってくるという杏寿郎を心待ちにしてリビングのソファに座っていた。
「…………………………。」
時計はまだ20時前を差している。
(こっちに着いてから飲むのなら早くても帰りは21時だよね。)
そう思うと桜は急いでシャワーを浴び、杏寿郎の服を着てベッドに潜り込んだ。
体を求められた時、飢えていたと思われたくなくて自身で少し発散しようと思ったのだ。
「杏寿郎さん……っ」
桜は下着を付けず、杏寿郎のTシャツ1枚を着て抱き枕を抱き締める。
「……っ、んくっ、……杏寿郎さ、んっ」
杏寿郎の匂いと名を呼ぶ行為で脳が混乱し、細い筈の自身の指が杏寿郎の指であるように思えてくる。
知らず知らずのうちに杏寿郎好みにされてしまった桜は一人でしている時も甘い声を隠せない。
そして性へ没頭する力は家の物音にも気が付けない程になっていた。
「……さん…、………っ、杏寿郎さん、杏寿郎さん…っ」
杏「どうした。」
その声にビクッと体を震わせると、桜は赤く泣きそうな顔で寝室の入り口を振り返る。