第67章 答え合わせ
痛めてしまいそうな程に首を振り続ける桜を落ち着かせようと頬に手を当てると、桜はビクッと肩を跳ねさせて杏寿郎の下から出ようと後ろにずり下がった。
「わ、わたし、だって、まだ結婚もしてないのに…、そんなこと…、まだ "子供" なんて…はやくて…とても…、」
杏「桜。」
青ざめる桜を見た杏寿郎は思わず昔のように下の名を呼んだ。
杏「すまない。勘違いをしていたようだ。君が望んでいないのならそういった事をするつもりはない。」
その言葉に桜は動きを止める。
杏寿郎は脱力した顔でそんな桜を見つめていた。
杏「つまり君は…セックスを子供を生む為だけのものであると考えているのだな。」
「………………はい……。」
それを聞くと杏寿郎は泣きそうになって顔を歪め、桜の肩に顔を埋めた。
杏「ああ、俺の知る君だ。君のままだ…。」
そう絞り出すように言うと杏寿郎は肩から顔を上げて堪らずキスをした。
状況が分からずに呆けていた桜は遅れてそれに気が付くとまた抵抗して顔を背けようとする。
すると杏寿郎は顔を離して余裕のある笑みを浮かべた。
杏「心配するな、これは風邪ではないので移ったりはしない。君は今欲情して辛くなっているだけだ。」
(………………え……?)
その言葉と笑みに桜は酷く赤くなった。
杏寿郎はその赤い頬を優しく撫でる。