第60章 決戦の日
(…………玄弥くん……?)
玄弥は欠けた黒死牟の刀を食べていた。
一方、透き通る世界が見えるようになった行冥と無一郎の動きは更に良くなり 黒死牟の意表を突きながら三人同時に斬り掛かりにいく。
黒死牟がそれを愚策だと思ったその時、
(玄弥くん……その目、まるで……、)
人とは思えない、上弦の壱と似た目をした玄弥が銃を構えていた。
―――ドンッ
黒死牟は玄弥の攻撃を刀で弾いたが、放たれた弾は生き物のように軌道を変えて黒死牟の腕に入り込む。
そしてメキメキッと音を立てて黒死牟は立派な根を張る木に巻き込まれた。
(まるで……血鬼術…………。)
完全に意表を突かれた黒死牟は近付くほぼ無傷の動きが速い三人の存在を再認識するのにワンテンポ遅れてしまった。
同時に酷い焦燥感を覚え、慌てて更なる奥の手を繰り出そうとする。
行「遅いッ!!!」
その声と共に無一郎の赫く染まった刀が黒死牟の腹に届き動きを封じた。
続いて行冥の鉄球が黒死牟の後頭部に直撃し喉元には斧が刺さり、更には実弥が刀で叩いて上から鉄球を後押しをする。
(無一郎くんのだけじゃない。悲鳴嶼さんの鉄球も実弥さんの刀も赫くなって…、)
実「ぐああああっ!!!」
そして、実弥の叫び声と共に黒死牟の頭は地に落ちた。