第60章 決戦の日
(私が今一般隊士さんの元へ次々と飛ばされないのは杏寿郎さん達が鬼舞辻を倒すのに必要だと思われてるからだろうな…。ユキ……来てる、よね?)
そう胸に問い掛けると胸はすぐに温かくなる。
しかし余裕が無いのかその温度はすぐに消えた。
(私もこの鬼が斬られたらたくさんの人を救わなきゃ……!)
そう気合いを入れると目の前で繰り広げられる戦いに目を遣る。
童磨にとって天元と杏寿郎は相性の悪い隊士のようだった。
天元の爆ぜる斬撃は童磨の凍る空気を霧散させ、距離を詰める杏寿郎にその危害が及ばない。
そして童磨の氷から作る技も、床を踏みしめて放つ炎の呼吸の力強い技には弱く 砕けやすかった。
(すごい……。でも、ここにいる杏寿郎さんと宇髄さんはこの戦いに本来ならいなかった人達なんだよね…。しのぶちゃん一人でも倒せたのかな…それとも増援がくる……?)
丁度そう思った時、襖がバンッと開き しのぶの継子であるカナヲが入ってきた。
「……あ、」
カ「し、師範……、柱…二人もいる……、」
カナヲは ほっとした様にそう言うと桜に気が付かないまま戦いに加わろうと走り出す。
桜はそれを見送ると まだ遊んでいる様子の童磨を見つめた。