第56章 戦いを終えて
結局その日は緊急の報せは届かず、逆に今日は来なくて良いという報せが届き 杏寿郎達も無事に帰ってきた。
杏「ただ今帰った!!帰りに随分と降られてしまった!!!ありがとう!!」
「ちょっと屈んでください。」
千寿郎が継子達にもタオルを手渡す前で桜は杏寿郎の髪を普段の癖から拭きだしてしまう。
杏寿郎は桜が珍しく皆の前でそういった触れ方をしたことに嬉しそうな表情を浮かべていた。
一方 桜はそれに気付かず懸命に拭いている。
「杏寿郎さんの髪は本当に綺麗ね。髪紐解くよ。後ろも拭かなきゃ。」
敬語を忘れてそう言うと桜は慣れた手付きで髪紐を解き、手で軽く梳いてから髪を拭いていく。
その間に継子達は千寿郎と善逸に引っ張られて自室へ帰っていった。
杏「甲斐甲斐しく世話を焼いてくれてすっかり俺の妻らしくなったな。」
杏寿郎は甘い声を出しながらお返しをする様に桜の髪を優しく梳く。
すると桜の顔は赤く染まっていった。
「…………継子さんと千寿郎くんは?」
杏「心配するな。とっくに部屋へ行ったぞ。風呂へ入ったら俺達も帰ろう。」
「えっ!?私はもう入っ、きゃあっ」
嬉しそうな顔をしたままの杏寿郎は桜を抱き上げると風呂へ向かった。