第56章 戦いを終えて

杏「そういえば最近任務で合同になると俺の股間を凝視する者が増えたな。気のせいだと思おうとしたのだが どう見ても股間を見ている。皆飢えているのだろうか。」


「え"っ」




二人は困った様に眉を寄せたが 勿論隊士達は杏寿郎にそういった物を求めた訳ではない。


桜の毒吐きを受けて、 "夫である杏寿郎が特別巨根なのだ" という噂が広まったのだ。




「杏寿郎くん、綺麗だからな…。力で敵う人は悲鳴嶼さんと宇髄さんしかいないって聞いたけど…、でも気を付けてね。」


杏「うむ！問題ない！！」




傷付いた隊士達が自尊心を保つ為に広めた噂は 彼等にとって不名誉な誤解を二人に与えた。








杏「さて。随分と話が逸れてしまったな。様子がおかしかった理由を訊いても良いか。」


「…それは……、」




桜は言いたくない気持ちもあったが心配を掛けるのは本末転倒だと思い、眉尻を下げながら口を開いた。




「やっぱり贈り物をしたくって…杏寿郎くんが喜びそうなものを探してたの。でも上手くいかなくて少し落ち込んでただけだよ。」




その言葉を聞いた杏寿郎は目を大きくした後 太陽のような笑みを浮かべた。