第56章 戦いを終えて

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(結局お芋なしかあ……。)




千寿郎は迷った末に『今日の朝餉は特別に芋を入れます。』と進言した。

しかし杏寿郎が頑なに断ったのだ。


そして今は桜の視線の先でしょんぼりとした大型犬の様に悲しげな表情を浮かべながら芋の香りが残るご飯を食べている。




(あんな顔をするくらい好きなのに断るなんて…そういう所も好きだけどあんまりにも辛そうで可哀想…。……そして可愛い…。)




桜がそう思いながら頬を緩ませるとそれを察知した千寿郎が桜の方を向き、慌てた桜はバッと真下を向いた。




千「姉上…？」

「ごめんなさい。」


杏「千寿郎？桜、どうした。」




下げに下げていた眉尻を少し元に戻すと杏寿郎は不思議そうな声色を出した。

そして味噌汁の椀を頭頂部に付けて下を向いている桜を見つめる。




杏「本当にどうしたのだ。まるで頭で飲もうとしているかの様だぞ。」


「……じ、自身の不謹慎さを恥じています。」



杏「不謹慎？」




杏寿郎はそう桜の返事に首を傾げながら今度は千寿郎に視線を移した。