第55章 遊郭に巣食う鬼
(……痛くない。…あったか、い…、)
桜はその感覚に一瞬安心し、そしてすぐに青ざめた。
緊急事態に感じたそれが一番大切な人の優しく熱い体温だったからだ。
「杏寿郎さん!!」
杏「む。桜、無事か。ばらけていた為 君しか守れなかった。すまないが皆を撫でてくれるか。」
心配する桜を余所に、桜を背に隠していた杏寿郎は何とも無さそうな声色でそう言った。
「皆って…杏寿郎さんは……?」
杏「俺は攻撃を視認できていたので剣で受ける事が出来た。だが三人と珍しく余裕を欠いていた宇髄が心配だ。一緒に探してくれ。」
「はい!!」
(血の鎌には毒があるって言ってた…!急がないと!!)
ユ『何が……、首を落とされたというのに またあの毒の攻撃が…、』
ユキは酷い有り様の周りを一瞥すると、すぐに信仰してくれている炭治郎の元へ移動した。