第55章 遊郭に巣食う鬼
炭治郎はその辛そうな表情を見て眉尻を下げた。
炭「勘、ですが……、煉獄さんは来ると思います。」
「勘……?」
炭「はい。それに煉獄さんは強いです!きっと無事ですよ!!」
その力強く明るい声色に桜は思わず涙を溢す。
そして何度もこくこくと頷いていた時だった。
炭「何だか外、騒がしくないですか……?」
途端にピリッとした空気を纏った炭治郎がサッと窓際に寄る。
桜は鬼が出たのだと思い喉をこくりと鳴らした。
「騒ぎがどんどん大きくなってる。…近付いてきてる……。」
『頼もうッ!!!!この店に桜という女性が居るだろう!!連れてきてくれ!!今すぐにだ!!!金が必要ならいくらでも払う!!!とんでもない男に攫われた俺の妻だ!!!!』
建物を揺らす怒号に桜はパッと表情を明るくさせた。