第55章 遊郭に巣食う鬼
―――『キャーッ』『イヤーッ』
「…えっ!?女の子の悲鳴…?」
伊「あ?何だ?」
伊之助を含めた四人は顔を見合わせるとその声のする方へ走って行った。
「………宇髄さんだ。何してるの…。」
そうぽつりと呟く桜の視線の先には 抵抗するアオイを担ぎ、不思議な瞳を持つ女の子と小さな女の子三人組に掴まれている天元が居た。
そこへ炭治郎が真っ先に駆け寄る。
炭治郎と天元は何やら言い合いをしていた。
尋常じゃない雰囲気に圧倒されていると他の二人も天元を取り囲む。
炭「アオイさんを返せ!!」
その声で我に返ると桜も天元の元へ駆け寄った。
「う、宇髄さん…!何してるんですか!!アオイちゃんを離して!!!」
天「うんうん、お前も採用な。独り身になったんなら誰も文句言わねぇだろ。本当は三人いりゃ良いんだがこいつらの面じゃ売れねぇ可能性がある。こいつらで事足りたらお前は帰してやるよ。」
天元はそう一方的に言うとアオイの尻をパンッと叩いてから解放し、代わりに桜を担ぎ上げて走り出した。
「えっ!?……ま、待って!!」
それを慌てて炭治郎達も追う。
その様子を見たアオイや不思議な瞳を持つ少女、カナヲは心底心配そうに眉尻を下げ、ケンタは慌てて煉獄家へ向かって羽ばたいた。