第54章 嵐前の日常
それを見て桜は少し呆れた顔で息をついた後、腹を括った様な目を杏寿郎に向けた。
「杏寿郎くん、お仕事の場でそういう事を言っちゃうとまた悪い噂が立っちゃうよ。 せっかく"違う人との間違った噂が流れて誤魔化せた" のに。お布団で二人きりになるまで待って。今夜はどんな風に愛しても、何してもいいから。」
その言葉に治療された隊士も杏寿郎も、様子を見に来た他の隊士も、伊之助を除く継子達も固まる。
一番始めに動いたのは酷く嬉しそうな杏寿郎だった。
杏「では!張形で一人で慰めている所を眺めたいのだが、」
「しーっ!具体的に言わないで!!」
桜は真っ赤になりながら杏寿郎の口を押さえると隊士達を振り返る。
「そういう事なので他の人の事は考えられません。ごめんなさい。」
杏「うむ!!俺も桜だけだぞ!!!それよりも、んむっ」
桜は自身の手を剥してまた余計な事を言い始めた杏寿郎のもみあげを引っ張ると 口を塞ぐ様に杏寿郎に口付けて隊士達に追い打ちをかけた。