第53章 ※不自由な夜

(……なんで…ちゃんと一人でしたのに…！)




桜は指を増やせないまま何度も達し、杏寿郎の肩にはあっという間に小さな歯型が沢山ついてしまった。




杏「桜、少し力を抜け。口付けをして意識を散らしてみろ。」




見兼ねた様に助言をする杏寿郎はまだ楽しそうな空気を纏っていたが、桜は縋る思いで頷き 意識をしっかりと保つように努めながら口付けた。


杏寿郎が舌を弄りやすいように差し出すと桜はそれに自身の舌を熱心に絡め、それと共に杏寿郎の思惑通り意識が分散された。

そしてその調子で指も増やし、解していった。









「杏寿郎くん………、」




すっかり頭が蕩けた桜は珍しく媚びるような甘い声で杏寿郎を呼び 無意識に杏寿郎を求めたが、呼ばれた本人は煽るだけ煽られて生殺しになり眉を顰めた。




杏「桜…分かるか。俺は今 君に触れられない。欲しければ君が挿れてくれ。」



「……………上から…？」




杏寿郎は会話が成り立った事に安堵しつつ頷いた。




杏「そうだ。足に力が入らないようなら俺の肩を掴むと良い。」




そう言われると桜は言われた通り杏寿郎の肩に捕まりながら膝立ちになり、杏寿郎の昂りを自身に充てがう。



そして、何度も達し 時間を掛けながら漸く全てを咥え込むと 桜は恍惚とした表情を浮かべてほうっと息をついた。