第52章 受け止め方
杏「な、」
「今夜は………わたし、頑張るね。」
杏「桜ッ!!!」
杏寿郎は笑顔を作ったまま青筋をいくつも浮かべてやたらと大きな声を出す。
「杏じゅ、」
杏「嬉しいが今は駄目だ!!別の事を考えてくれ!!!」
「えっ…あ、う…………、」
杏寿郎の表情から自身が何をしたのかを察した桜は口を手で押さえて俯いた。
「ごめんなさい…杏寿郎さんの気持ちを知れて私も嬉しくなったら気が緩んでしまって……。」
桜がそうくぐもった声を出すと杏寿郎は笑い声を上げる。
杏「構わない!!責任は布団の上で取ってくれ!!!」
「ぐ…ぅ………。」
杏寿郎の言葉を聞いて 桜は自身の発言を後悔すると共に恥や夜への緊張を覚えて首筋まで赤く染めた。
杏寿郎はその赤く染まった項を見ながら耐えるように奥歯を噛みしめる。
杏(帰るまでの辛抱だ。今夜は桜に触れる事が出来る。)