第51章 家族
「…………うん……。」
桜は素直に頷きながら少し不思議そうな表情を浮かべた。
杏「君に強く言われれば抱き着くのも忘れて驚く者が多いだろう。その間に柱の皆を頼ってくれ。」
「驚くかしら…。強く、かあ。」
(そういえばのんちゃんが『しつこい男がいたら言え』って教えてくれた魔法の言葉があったな…。)
―――
の「男が怖い?」
のんちゃんこと方峯 紀子は桜と小学校時の同級生であり、中学に上がった頃は様々な事情が重なって一度不良とも呼べる少女になったこともあった。
「うん、おかしいよね。小学校、中学校の時は全くそんな事なかったのに。避けてれば問題ないんだけど、最近は同じクラスや部活の男の子でも大人っぽいと怖いって思っちゃう人が出てきて…。」
紀子はそこまで聞くと任せろと言わんばかりの笑顔を浮かべた。
紀「いい呪文があるよ。桜に迫ってきてしつこい男がいたらこう言ってごらん。『――…、」
―――
(『タンショーホーケーソーローの男には興味がありません。』だったよね。)
「……うん、強く断れると思う。」
桜がしっかりとした瞳を向けると杏寿郎は少し安心した様に微笑んだ。