第51章 家族
杏「思った以上に俺は君に多く触れていたようだな。」
桜は再び考えるような顔をしながら杏寿郎の手を掴んで自身の肩に置いた。
一方、杏寿郎は自ら肩を掴ませた桜に少し目を大きくさせた。
「たしかに考えが甘かったかも…。柱の方がいてくれるからっていつもどこかで思ってたのかな…。」
杏「それは良くないな。……何故肩に手を置かせたんだ。」
「…………え?」
桜はそう言われて初めて自身が杏寿郎に責められている体勢を作り出してしまっていた事に気付き 慌てて杏寿郎の手を肩から外させた。
「…びっくりした………無意識だよ。杏寿郎くんが置こうとしてたから置いただけだと思う…。」
杏「君は他の男の前で無意識に何かを行動しないようにしてくれ。相手の気持ちを優先したり雰囲気に流されかねない。」
間髪入れずにそう釘を刺されると桜は少し眉を寄せて不服そうな顔になった。
「流石にそんな事はしないよ。」
杏「危険な人は居ないと思っていると知ったのでな。危なっかしくて気が気ではない。」
「ですから流石にそこまでではありません!嫌いだなって思う人もいるもの!」
杏寿郎は若干眉尻を下げて心配そうな色を滲ませると少し首を傾げた。