第45章 ※心配性と解決法
しかし、実際のところ杏寿郎を上に見ている為にねだる事がし難いものとなっていたので桜は口を薄く開いたまま黙ってしまった。
その答えない桜の様子を見た杏寿郎もまた固まる。
そして再び眉尻を下げると桜を抱き締めた。
杏「随分と親密な仲になったと思っていたが 未だどこかで壁がある様に感じる。その壁の中には入れるものなのか?それとも俺だから入れないのだろうか。他の男は……、」
想像したのか杏寿郎から嫉妬のような怒気のような黒い空気が漏れる。
杏「……桜、祝言を挙げよう。父上の様子が落ち着いたのなら丁度良いだろう。鬼殺隊士にまとまった休みはない。すぐにでも挙げよう。」
抱き締められていた為に杏寿郎の顔が見えなかった桜は静かな声を聞きながら体を離して表情を確認した。
するとやはり瞳の色は暗く、槇寿郎を思わせるものとなっていた。
それを見てすぐに安心させてあげたいと思いながらも桜は予てから考えていた事があった為 複雑な表情を浮かべた。
「…その事なのですが、どうしてもしなくてはならないですか………?指輪もしてますし、噂も広まってますし、このままでも、」
杏「嫌なのか。」
途端に温度を失った声に桜は慌てて首を振る。