第44章 ※ずるい人
杏「潮を噴くのも恥を捨てれば気持ちよくなるぞ。気にしなくて良い。俺は嬉しいし布団ももう一組ある。この布団は俺が粗相をしたと言って干せば良い。」
「えっ…そんな言い訳は……、…ッッ!!」
杏寿郎はテキパキとそう決めると再び同じ場所を擦り始める。
(本当に…ここは、だめだ……っ、でちゃう………、)
「杏寿郎さんっ、杏寿郎さ…あッ、うぅーー…っ」
桜が呆気無く潮を噴き始めても杏寿郎は指を動かし続け、もう片方の手で優しく誉める様に頭を撫でた。
するといけない事をしたという意識が薄まった桜の表情が ぽーっとしたものに変わる。
杏(愛いな。分かり易い。)
杏「前よりは良かっただろうか。ホテルでした時は震える程に泣いていたからな。」
杏寿郎は自身が濡れる事を失念していた為 ぐっしょりと潮を含んだ浴衣を脱ぎながらそう問うた。
その問いに桜は大人しく頷く。
恥より約束を優先して答えてくれた事を嬉しく思った杏寿郎は浴衣を板の間に広げると布団に入り 桜を抱き締めながら再び褒める様に頭を撫でた。