第44章 ※ずるい人
杏「…………………。」
「…………………。」
それに気が付いた二人は少し目を大きくした後可笑しくなり どちらからともなく笑い合った。
杏「…では、言葉にする事が難しいのなら君の気持ちを俺が推察した時 その都度君に確認を取る、というのはどうだろうか。」
その案に桜も賛成の意志を込めて頷いた。
―――
「………っ」
杏「今のは気持ち良いと思ったのだろうか。」
杏寿郎は桜の上に跨って襦袢の上から胸を愛撫し 身を捩る桜に似たような質問を繰り返していた。
最初は赤くなりながら頷いていた桜も十回を超えると流石に参った様に眉尻を下げる。
「杏寿郎さん、そこまで細かく確認しなくても…。」
杏「むぅ。線引きが難しいな。」
杏寿郎は先程の酷い勘違いと 過去に自身の独断で行為中にもすれ違いを起こした事から酷く慎重になっていた。