第44章 ※ずるい人
杏「理解……?いつの間に…。君は何を言っているのか分かっているのか。その様な事 許せる筈がないだろう。」
「ゆ、許す許さないって杏寿郎さんが決めることじゃな…あぅッ!!」
杏寿郎は聞きたくない言葉を遮る様に再び太ももで刺激した。
杏「君が何を言っているのか……分からない。」
「わたしも…わかりません…っ!離して…やめてください…!!」
杏「離す筈がない。誰だ。名くらいは訊いたのだろう。何度も会ったのか。」
低く放たれた言葉に桜は首を傾げる。
その呆けた様子を見ると動揺と嫉妬から血が上っていた頭が冷え 杏寿郎は冷静さを取り戻した。
杏「…蝶屋敷で好みの物静かな男に惹かれたのではないのか。」
「……え!?今の…そういう意味で質問してたんですか…?否定したじゃないですか…確かに似てる人はいましたけど名前も知らないですし、想いも寄せてません。」
安心した様に脱力する杏寿郎とは対象的に、今度は桜が言いながら怒った様な顔付きになっていった。