第1章 異変
この頃からリヴァイさんの睡魔は唐突に彼を襲うようになる。
おかしいと思いハンジさんに相談した時には、椅子に腰を掛け、皆で談笑している時であろうとふわりとその意識を飛ばすようになっていた。
リヴァイさんの肩をさりげなく抱き寄せ、私の肩で重い頭を支えている。
首筋に掛かる吐息は熱く、ベッドのことを彷彿とさせる感覚に、ぞくりと走る甘い痺れに口端を噛むことになる。
リヴァイさんは無防備に寝こけているが、周囲もそれに対しては「疲れているんだな」と言うに留めるようになっていた。
ただハンジさんだけが眉間に皺を寄せ、そして私とリヴァイさんを見ている。
その険しい表情に感じまいとしていた不安を見付けだされてしまいそうで、私はそちらからふいと視線を外し、優しく指先で黒髪を梳いた。
一瞬で寝落ちるような癖は今まで見たことはない。
ベッドを共にするようになっても、なかなか寝付けないでいたのを私は知っている。
寧ろ私の方が何の因果か彼の腕の中に安堵する場所を見つけたようで、先に眠りについてしまうほどだ。
そして早くに目覚めれば、いつ眠ったのか分からなぬリヴァイさんが静かに寝ていた。