第5章 呼んで、動いて、見せてよ
柔らかい雪は深々と降り積もり、窓枠に結晶を見せた。
がらんとした大きな寂しい空間に感じるのは、私の感情の揺れ幅が大きくなっているからだろうか。
・・・・・・あんなに光で満ちていたのに。
春先のことを思い出す。
まだ眠りに浸され初めてそう時間は経っていなかった頃、こっぱずかしい思いの中、二人での生活が始まった。
「新婚みたいだな」
そう言ってあるごとにキスを仕掛けてきたリヴァイさんに、私もまんざらでもなかった。
夏は暑さから逃れるように川に水浴びにいった。
魚を獲り、水の中で戯れ、光に満ちた空を見上げた。
秋は幾度も森へ出た。
実りの秋を実感しながら共に歩き、そして様々なものを見つけた。
・・・・・・そして・・・・・・。
「・・・リヴァイさん・・・スープを作ったんです。一人じゃ食べきれませんよ・・・。あなたの好きなカブのスープです。ミルクも少しだけ多めにいれてありますよ」
いつ目覚めるのだろう。
目覚めてくれるかどうかさえ分からない中、募るのは不安だけだ。
こんな思いのままリヴァイさんの顔を見下ろしていることさえ辛いと思う反面、目覚めてくれる時に傍に居たいと期待する気持ちは高まるばかりだった。