第4章 壊したい時間、過ごしたい時間 ※
「夕日も綺麗だな」
チキンをコトコトと煮詰める私の傍で、リヴァイさんはハチミツの中に入れるための木の実を取ることが出来なかったが、たくさんの色鮮やかな果実を得ることが出来た。
紫色の外からは想像できないほどに美味しいアケビや、スグリなどをいくつも摘み取り、すぐに籠はいっぱいになった。
リヴァイさんはクルミが取れなかったことが不機嫌そうだったのだが、クルミもアーモンドもまだ蓄えはあったからそれを軽くいって渡してやる。
すると嬉しそうに小さな丸い瓶の中にぽとりぽとりと落としていった。
「甘くておいしくなるだろうな」
「何につけて食べるんですか?」
「チーズでもパンでもな」
「そうですか」
チーズをじゃあ今度は買ってきますか。
そう呟く私にきゅっと瓶の蓋を閉じたリヴァイさんが近づき、耳元へ唇が触れた。
「セイラ」
「ご飯が先です」
甘えた声に聞こえるだろう。
あの兵士長殿がと皆は言うかもしれない。
だがその声音こそ、私にしか聞かせることのないももだった。
甘く実直で・・・そしててらいもなく恋心を囁くそれ。
「・・・・・・」
チキンはあと数十分で出来上がる。
それを理解しながらリヴァイさんはゆっくりと目を閉じた。
胸に抱き締められる感覚、嫌いなはずないだろう。
「まだ見ていないものがたくさんある」
「なんですか?」
「・・・・・・それはだな、一つ見つけるたびに、おまえに一つのキスをしていくことで知らせてやる」
きょとんと眼を丸くしたらしい私に、そっとキスが降ってきた。
数回瞬きをすると、リヴァイさんは微笑んでいる。
「赤い光に照らされるお前は、綺麗だな」
かっと頬の熱が上がる。
それも窓の外から入る光はけしさってくれているだろうか。