第4章 壊したい時間、過ごしたい時間 ※
「籠、持つぞ」
伸ばされた手。
だがそれに私は首を振る。
どうせ感じられるなら指先を感じていたい。
だがそんなことを言えないまま、先に扉から外へ出る。
リヴァイさんも同様に外へ出ると、ゆっくりと鍵を掛け振り返った。
するとそこには、優しい微笑みで私に指先を剥けるリヴァイさんが居た。
「おいセイラ、手を繋ぐか」
「・・・子どもっぽいですね」
「俺が迷子にならねぇようにな」
「私を捕まえとくとか、うまいこと言ってくださいよ」
数段の階段を降り、指先を絡め、拳を合わせる。
そしてぎゅっと握り合い、私は照れを隠すようにリヴァイさんの腕へこつりと頭をぶつけた。
「・・・青空だな、セイラ」
「綺麗ですね」
「お前が馬に乗っている姿は綺麗だったぞ」
白い美しい愛馬。
誰よりも目立つ存在にまたがる私は、気品溢れる雰囲気と、ぴしりと引き締まる空気。
誰よりも、人類に貢献しようと努力した私。
リヴァイさんはそんな私の姿を思い出すように遠くを見つめていた。
「・・・私は・・・あなたが空を舞うように飛ぶ姿は、美しいと思いました」
立体機動装置の重さを感じない。
風に身を任せ抵抗せずに空を舞う。
アンカーを掛ける場所を間違えるはずもなく、誰よりも早く、前へ進もうとしたリヴァイさん。
そんな姿を、目を幾度細めただろう。