第4章 壊したい時間、過ごしたい時間 ※
少しかさついた男の唇。肉厚で、繊細で、そして淫らな唇。
私は彼の口に幾度口から食われてしまうという恐怖に陥りそうになったかを思い出しながら笑った。
もういっそ食い殺してくれたらいいとさえ思う。
「・・・・・・りう"」
「セイラ、茶を飲んだら、出掛けるか」
「そうですね・・・夕飯の前には帰っておきたいです」
とりあえず食材を貯蔵庫にしまっていく。
本当はチキンの下準備をしたいけど、それも後回しだ。
暗所に置いておけば大丈夫だろう。
野菜を載せ、尽きていたブドウ酒を一本棚へ置く。
その時にハチミツの瓶を取り出し、リヴァイさんに見せた。
「これくらいあれば大丈夫ですか?」
「そうだな、きっと上手いもんが作れるだろ」
無邪気に笑うリヴァイさんに胸の奥を締め付けられそうだ。
本当はもっとたくさんのハチミツを持ってきて、それで・・・・・・。
「ジャケットを取ってこよう」
「そうですね」
その間に他のものを全てしまい、籠は空になった。
その籠を再度持った私は、濃茶のジャケットを着た美丈夫に目を細めることになる。
黒色の髪は滑らかに流れ、私が出かけている間に髪を整えたらしい。