第4章 壊したい時間、過ごしたい時間 ※
「おかえり、セイラ」
「・・・・・・ただいま、リヴァイさん・・・」
何時に起きましたか?と目で聞くと微笑む。
「11時間と少しだ。セイラが出て行ってから帰ってくるまでで・・・ちょうど半分くらいの時間に目が覚めたのかもな」
優しい顔と共に聞かれた腕は私は飛び込みそうになる。
その一歩を踏み出せないまま籠を抱えていると、リヴァイさんが近づき、両手でしっかりと抱きしめてくれた。
「おかえり、セイラ。外は寒かったか?」
「そうでもありません。後で少し出掛けましょう」
「いいぞ。ついでに何か見つけられるかもしれない」
「何をですか?」
ちゅっと唇が触れてきた。
頬を摺り合わせ、伝わる温もりに目を閉じる。
「木の実入りケーキ、うまかったな。あれに酸味を付けるなら、どんな果実だろう?」
「・・・・・・」
「他にも・・・ナッツをハチミツ漬けとかにもしてみないか?」
「いいですね」
ハチミツは高級だ。
だがそれでも小さな瓶に入ったものがある。
それを使おうか。
黒い瞳を見上げ、私はどうしようもなく嬉しくてリヴァイさんの言うことならなんだって許してしまいそう。
そんな私を知ってか知らずか、ギュッと抱き締めてくるリヴァイさんは頬を摺り合わせ、やがてそれが自然の行為だというかのように唇を触れ合わせてきた。