第1章 異変
「セイラ、この12時間に何か・・・」
「あなたは何も気にする必要なんてありません。ただこうやって」
「・・・こうやって?」
何もするなと言うのはあまりに酷ではないだろうか。
思惟の果てに答えはあるのかと問うのは身勝手かもしれない。
「・・・・・・」
「ねぇ、リヴァイさん」
ちゅっと唇を押し当てた私は、戸惑いを隠しきれぬままその思いさえまっすぐな道に乗せられぬまま、そっとリヴァイさんの頬を撫でる。
こうして目覚めてくれたことがどれほど私を幸せにするのか、あなたは分からないかもしれない。
こうして視線を合わせ、触れ、そして唇を合わせる。
一方的ではなく互いの思いを伝えあうようなこの行為を行うことが出来るということが、私をどれほど幸せにするのか。
「・・・どうしましたか?」
「せっかく目が覚めたんだ。服に着替えてちょっと出かけねぇか?」
「え?別にかまいませんが・・・」
「行きたいところがある」
そう告げたリヴァイさんは、もう一度食らいつくように強く唇を奪った。
私の後頭部へ回る拳は暖かく、力強い。
つたわる温もりにくふんと鼻から息が抜ける音が響き、私は恥ずかしさに頬を染めていた。