第1章 異変
寝起きの髪は乱れているが、それでもイケメンには違いない。
そして彼は、私にとって誰よりも大切な存在だ。
待つのはその倍以上の時間を与えられているような感覚に落ちる。
たった一分であろうと、その時間は永遠のように覚え、心は悲鳴をあげようとする。
私はこんなにも弱かっただろうか。
ふとそう問いかける自分がいる。
私は、こんなにも感情を揺らすことがあっただろうか。
ベッドに乗り上げ、軋みをあげるスプリングに瞳を閉じ、悲鳴のような音が耳の裏側にじわりと響くのを堪える。
ぐっと奥歯を噛み締め瞼を上げると、目の前にはリヴァイさんの瞳があった。
私の心の中みたいだ。
叫びたくなる悲鳴を、幾度堪えてきただろう。
何も告げず、ただ見詰める瞳を見つめ返した。
突然、リヴァイさんが私の頬を撫でた。
さらりと触れる髪に少し笑い、そっと唇を薄く開いていた唇へ付けたリヴァイさんは、確かな弾力と呼気を感じたのか、離してはまた触れる行為を繰り返す。
押し付けるようにして肉厚の唇を吸われる私は、リヴァイさんにされるがままになり、ちゅっと口端に音を立ててキスをした。
唇が触れ合う距離のままこつりと額をぶつける。
鼻先を摺り合わせたまま再び唇を吸い、そして始まりと同じように私は唐突にリヴァイさんを離した。
「12時間です。眠ったのが夜だったのでしょう?今は昼過ぎです」
「・・・そうか」
「でも目覚めました。それだけが事実でしょう?」
私はそっと告げ、リヴァイさんの首筋に齧りつく。
甘くふわりと香る男の匂いを精一杯に吸い込み、背に回された腕の強さに吐息を零す。
ああ、まだ傍に居てくれる。
それだけで私は・・・・・・