第3章 憎くて、愛おしい
「いやぁ、いい天気だよね」
サクサクと踏みしめる枯れ葉が軽やかな音をたてている。
三人で並び、ゆっくりと見上げた空は紅葉した葉と針葉樹の隙間から光が降り注いでいた。
綺麗な光だ。
その光を全身に浴び、私は足を止め、目を瞑る。
柔らかい光がリヴァイさんの病をぬぐいさってくれればいい。
そう願いながら。
「どうした?」
言葉と抱擁は同時だった。
男の腕は偽りのない思いをまっすぐに向けてくれているようでもあり、私はなんでもないと首を振る。
だがそんな私のなにかを感じ取ったらしいリヴァイさんが、ハンジさんがいるにも関わらずキスをしてきた。
いやだととっさに逃れようにも、力で叶うはずもない。
強引なキスとそのキスから広がる熱は言うまでもなく、次第に舌が絡み合い、互いの唾液を吸い上げるように繰り返すキスに全身から力が抜け落ちていく。
ハンジさんがいる。
すぐそばで口をあんぐりと開けて見ている。
だからやめないといけないのに、痺れそうな脳内に甘い蜜が広がる。
リヴァイさん。リヴァイさん・・・幾度呼んでも足りない。
幾度触れ合っても足りない。