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眠りに溺れる者【進撃/リヴァイ】

第3章 憎くて、愛おしい





「セイラ、あのさ」

「リヴァイさんはまだ起きていますか?」



暫くして出てきたハンジさんに、私は慌てて問いかけた。


ハンジさんはどこか優しい笑みを浮かべながらゆっくりとうなずいている。



ああ・・・そうか。起きているんだ。



せっかく食事の準備もしたし、食べてもらわないと。


ごまかすように告げる私の肩に、ハンジさんはそっと触れる。


そして優しく肩から二の腕までを撫でられ、なんとも言いがたい感情を覚えていた。


感情の並みが揺さぶられ、眼底が痛んだ。


痛くて、痛くて苦しくて辛くて。



でもこの波は少し耐えればすぐに消えるものだから。


何を我慢できないというのか。

できないわけがない。

そんなはずあってはいけない。


私はただこの痛みを数えることでやり過ごせばいいんだ。


ひとつ、ふたつ・・・・・・。


呼吸を繰り返し、目を瞑る。
何を悩むことがあるだろう。


リヴァイさんは起きている。

目覚めて、そこにいる。


彼は生きている。

心臓は鼓動を刻み、私と共に居ようとしてくれている。


大丈夫。まだ、大丈夫。


リヴァイさんは私を待ってくれているから。だから。



「セイラ、リヴァイが眠ってからでいいから、少し話をしようか」

「リヴァイさんが起きている間は、私はあの部屋で何してるか分かりませんよ」



言葉の外にいろいろな意味を含めながら。


そう告げる私はその脳裏にある事柄に自分の言葉に自分で赤くなっている。


そうだ、私はリヴァイさんと過ごす時間が大切だ。


誰にも奪われたくないし、私のためだけにあってほしいというワガママだって言いそうになる。




私にはリヴァイさんしかいないんだと言いたくなった。


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