第2章 捜査開始
「前に買った酒をあけたくなるな」
「飲みますか?」
すぐ傍にある貯蔵庫にそれは入っている。
それがわかっているからこそ私は席を立とうとしたが、手首を捕まれゆっくりと首を振られた。
「別にいい。酒を飲んだら眠くなっちまう。だから今は要らない」
「そうですか」
「こんなに脳内がクリアなのは久々だ。セイラ、今夜はゆっくりとお前と過ごしたい」
「明日だって目覚めてからまた・・・」
「明日は明日だ。お前と過ごす一秒一秒が大切なんだよ」
二人で暮らすようになって、様々なことが変わった。
そして様々なことを知った。
リヴァイという人間が想像以上に甘い空気を好むこと、臆することなく言葉として感情を露にすることも最近知った一つのことだ。
ただそれは、巨人との戦いが無くなったからだと思うがー。
恥ずかしげもなく告げられる言葉は、何よりも感情を揺さぶる。
まっすぐに向けられる音の響きは甘く、羞恥に頬を染める私の手首をそっと撫で上げられた。
「じゃぁ明日は」
手首を撫で、そのまま指先に触れたリヴァイさんの手を捉え、指をからめるようにしてきゅっと握る。
手のひらから伝わる温もりと、熱く注がれる視線に戸惑いながらもそっと唇を寄せた私は、リヴァイさんの温もりを肩越しに感じ、その後手の甲へキスされる感覚に瞳を閉じていた。