第2章 捜査開始
甘く優しい時間が過ぎている。
「・・・リヴァイさん、聞いていますか?」
ちゅっちゅと音を立てて繰り返される口づけがやたら甘い空気を醸す。
手の甲でさえも心臓になったかのような状況にドキドキと心音が響いている。
リヴァイさん。
そっと触れ合う唇は、互いの存在を示すものだった。
そして繰り返される甘さは、誰よりも不安を抱えた心を互いに勇気づけようとしている。
「明日は?」
「森に行きませんか」
「森?」
「春の食べ物、探しに行きたいです」
理由などなんでもいい。
ただ一つでも二人で見たものを作っておきたかった。
これは二人で見た風景だ。
これは二人で食べたものだと。
そうやってひとつずつ私の記憶のなかにしまい込んでいく。
もしあなたの眠る時間がもっと増えてしまい、目覚めている瞬間が少なくなるのなら、私はあなたの傍にいて、あなたとの思い出を眠るあなたに話しかけるだけだ。
そんな未来、来てほしくないけど。
だが現実はそう甘くもなく、その瞬間は一歩ずつ近づいてきた。
確実に一歩一歩を踏み出す眠りはリヴァイさんを侵し、彼の時を奪って行く。
私は少しだけ無口になり、それをとがめるリヴァイさんのために会話をする。
話したいことはたくさんある。
だがそれ以上に彼の匂いを記憶し、彼の温もりに包み込まれていたいと願う私がいた。