第2章 捜査開始
「人の命がかかっています。そこに従事する人間として、置いておくことなど出来ません」
「彼は少なからずシンボルのような存在でもあるからね」
「療養してよくなることが最善です。それ以上もそれ以下でもありません」
「答えは言うまでもなく、見えてるんじゃないか」
そう悲しげに笑うハンジさんは、そうなるであろうことを予測していたことが分かる。
ああそうだ。
私は早くリヴァイさんを落ち着いた空間で見つめていたかった。
そうすることで分かることも増えるだろう。
失われていく彼の時間を手に取ることができるかもしれない。
零れ落ちるものを両手ですくい、それを直すことが出来るかもしれない。
しかしそれさえも絵空事なのかもしれない。
何事も結果は分からず、見えてはこない。
治るかもしれない。
治らないかもしれない。
すべてが先の見えぬ暗闇の中だ。
だがそこに一縷の望みがあるのなら。
「ハンジさん、リヴァイさんにも休みは必要です」
「ああ、もちろんだ」
「私は」
「告げるのはセイラだ。そして、彼と共にあれるのも、セイラだ」
さぁどうするか。
私の手のひらの中に賽はある。