第2章 捜査開始
湯を入れ、蒸らして淹れた紅茶はふわりと柔らかい香りを広げる。
燻したアールグレイの香りも、このポットで淹れるとどこか優しくなる気がした。
「ああ、ありがとう」
「・・・はい」
ブリキのカップに色気なく注ぎ、自分のカップも満たしていく。
リヴァイさんとは最近こうして紅茶を飲んでいないなと思いながら、瞳を伏せた。
「まずは、・・・まぁセイラ座りなよ」
指示されたのは窓際にある椅子だ。
机とセットになっているその座り心地の悪い椅子を引き寄せ、しかたなく腰を下ろせばそこからハンジさんの怒涛の語りが始まる。
だが今回は聞き漏らすことが出来ない。
全てがリヴァイさんに関わることだからだ。
告げられる言葉に怯えることになると、誰が考えただろうか。
心臓がひとつひとつ鐘を打ちつけ、ぞくりと背筋をいやな汗が滑り落ちる。
ハンジさんが言葉を選び、それでも真摯に伝えようとしていることが伝わるからこそ、私は手もち無沙汰なままカップを手のひらで遊び、だがその後に来るであろう衝撃に備えた。
こんなにも心臓がざわめいたことなど最近ではあまりなかったかもしれない。
テーブルにのせた紙へ二人で視線を向け、そこから得る情報を解析する。
グラフの示す情報はあくまでも芳ばしくないものではあるが、それでもどこかに救いがあるかもしれない。