第1章 異変
私はそんな彼女からリヴァイさんの重たい体を引き取り、肩へ腕を回させ支える。
リヴァイさんのウエストに手を回し気合いと共に立ち上がると、全体重が私に掛かって来る。
・・・・・・小さいのにどうしてこんなに重いの・・・
ずしりと響く重さと無防備な体に、ぐっと奥歯を噛み締めた私はそれでも目覚めないリヴァイさんをベッドへの数歩を誘導し、そこへ突き落す。
ギシギシと悲鳴を上げるベッドと、そこの上に転がったまま眠るリヴァイさん。
本気で寝ているのかな・・・
目覚めることさえしない状態に笑いながらも、私はぐっと腰を伸ばし背後を振り返った。
ハンジさんは先ほどまでリヴァイさんが眠っていたカウチに腰を掛け、足を組みつつ残っていたグラスの酒を煽っている。
そのグラスがもはや誰のものかさえ分からないが、それでもそのようなを頓着せず飲み干した彼女は、どこか悲しげにこちらを見つめ、眼鏡の奥の瞳を揺らめかせる。
無頓着に結ばれた髪も、何日目か分からぬ着倒された服も、それ自体が日常の変わらぬ片鱗になっており、そんな中唯一崩しているものといえば、
今私が投げ捨てたままの状態で眠り続けているリヴァイさんの様子だろう。
何かをハンジさんが告げようとしている。
それはきっと私があまり聞きたくはないことだ。
何も聞かない。
聞きたくはない。