第1章 異変
そんな思いのまま、私はちらりとハンジさんを見る。
シャツの襟元を緩めようとしたのか、クラバットを外し、ボタンを数個外したところで手が止まった。
そりゃそうだ。
私の爪の痣やら噛んだ痣やらがつきまくっているのだから。
兵士長様の背中を見れば何もかもが分かるだろう。
「お盛んだねぇ」
「その人に言ってください」
私の首にも同じようにリヴァイさんの所有跡がついている。
つけないでと言ったところで聞きはしないリヴァイさんに私が付け返すようになったのは、ここ最近のことだった。
寧ろ痣を残したがらない私をなじるように痣跡を残して欲しいと言ったリヴァイさんは、正直何を考えているのかさえ分からなかったのだが。
「シャツのボタンは数個外したよ。ベッドまで運ぶ?」
「その重いのをですか?カウチにでも転がしては如何でしょうか」
「さっき可哀想て言ったのはセイラじゃないか」
ハンジさんの言葉にそういえばそうだったなと、ゴミを纏めていた私はトントンと腰を叩きながら伸びをする。
微かに頬を染めているハンジさんも酒が回っているようだ。