第7章 人形
~デュースver~
授業終わり、今日はどこにもよらずに寮へ帰ろうと廊下を歩く。すると、コツン、と何かを蹴っ飛ばし下を見る。そこにあったのは…とてもデュースに似てる人形であった。
「デュースの……?そんなわけないか…」
自分の人形を持っているタイプじゃない。だからと言ってこんな本人に似てる人形を本人以外で持ってたら怖いし…どうしていいかわからず、とりあえず人形を拾い上げてマジマジと見る。良いお顔をしている…まつ毛長、おててカワイ。周りを見ても誰もいない。
「………家来る?」
なんて言っても人形だから反応しないか。大事に人形を抱えると、オンボロ寮に持って帰った。オンボロ寮に着き、改めてデュースを眺める。
「こんなリアルな人形があるなんて…教えてくれれば高い値段で買ったというのに。」
今度は人目も気にせずに人形を触ることができる。ベットの上で人形を持ち上げて眺める。髪はサラサラ、頬はやけにもちもちだし。まるで本物のデュースを触ってるみたいだ。本人は恥ずかしがって中々触らせてくれないけど、この人形でだったら思う存分触ることができる、なんて調子に乗って色んな所を触る。
「……あっ?ヤバい、触り過ぎたかな…髪のところほつれちゃった、」
ちょいちょい、と髪を触っていたら髪がいきなり動いて手を離してしまう。手を離した瞬間、人形がぐんぐん大きくなって……ドサ、とベットに手を付いて私を押しつぶさないように踏ん張っているデュースと目が合った。
「………っ!!?っ、え!?」
「うおああああああ!!?」
「デュ…デュース…?」
「ひぇ……す、すまん…」
パチクリ、と今の状況を読み込めずに停止する。デュースはどこから現れた…?召喚魔法か、はたまた瞬間魔法か。どちらにせよデュースと距離がいまだかつてないほど近い。