第6章 ラッキースケベ
「ま、待って、かなさん動かないで!!他の人に見られてしまいます!」
「ひゃっ……」
少しパニックになりかけた私を宥め、アズールはタコの姿へと変化する。そして数本の足で私の胸を隠すと、そのまま人が少ないところへと移動した。そして私を隠してない残りのタコ足で必死になって水着を探してくれていた。
「…あ、ありました!!見つけましたよ、かなさん!!」
「わぁ、ありがとうございます……あ、やっ!?」
「っ!?す、すみません!!」
触手で私の水着を水面に出して見せてくれる。正直にお礼を言えばアズールもホッとしたみたいで、それまで特に動きもしなかった胸を隠してくれている触手が動いて変な声をあげてしまう。
「ああああああぁ……っ、すみません、すみません!!」
慌てたアズールは触手を全部上にあげて何も触ってません、とアピールをする。そうすると当然私の胸は公共の場で晒されるわけで。バッ、と自分で慌てて隠した。アズールは少しバツが悪そうな顔をすると、さっき拾っていてくれた水着をそっと着させてくれた。
「このような事故………僕がもっと冷静に対処できていればこんな大事にはならなかったはずです。今度はその………もっと、あなたをキチンと守れるようになってから、また次は海水浴にでもいきましょう。」
そんな本当にただの事故で、アズールはこれっぽっちも悪くないというのに…しかしそんな真剣な目で見られると何も言えなくて、むしろまた誘ってくれるのかと思い嬉しく思った。
「いいんですか!?」
「えぇ、もちろん。かなさんを守れる男…つまり今度行くときは恋人として、という意味ですが気づいてますか?」
ふえ?と間抜けな声が出て、アズールを見る。少し顔は赤いけど、真剣に言ってくれたんだって思ったら私まで赤くなってしまうじゃないか。お互いに目をそらしあって、そっから私たちはどうやって帰ったかも覚えていなかったのだった。