第6章 ラッキースケベ
「ご、ごめん……」
「はぁ……、オレも男なんだけど?そういう恰好、他の奴に見せんなよ。」
「これは見せたくて見せたわけじゃなくて…っ、」
「それでもダメ。」
「ひっ……!?」
背中に回されていた手がそのままがら空きの背中へ這わされる。ぞわぞわぞわ、とくすぐったいような気持ち悪いような感覚に襲われる。思わず変な声が出て、必死に目の前にあるエースのTシャツにしがみつく。
「ほら、弱いんじゃん。無防備にこういうところは出すなよ~?」
こんの…ニヤニヤ顔がとても腹立つ。しかし図星でもあるため何も言い返せない。何かアクションを取らない限り、後ろに回された手は離してもらえなさそうだし。
「べ……っ別にエースなら、いいし…?」
「…ふ~ん?」
「…あ、っエース?」
エースの目が伏せがちになり真顔に変わった。こういう時のエースは違う人みたいで少し…怖い。背中にあった手がスス、とうなじまで移動する。ヤバいヤバい、と身の危険を感じてエースを押して自身から遠ざける。
「何?オレなら触ってもいいってさっき言ってなかったっけ?」
「い、言った!言ったけど…エースが別人みたいで、少し怖い…」
「………はあああぁ~…ごめん、ちょっと調子乗ったわ。でもさ、お前も悪いと思うんだよね。」
なでなで、とさっきの伏せた顔はどこへやら明るくそう謝ってくれた。ホッ、と安どしたのも束の間…エースは頭の後ろに手を持って行くと、耳にささやくようにこう言った。
「………あんまオレを煽んないでくれる?次は遠慮なく襲うから。」