第4章 ポッキーゲーム
~フロイドver~
コンコン、とフロイドの部屋のドアをノックする。自分からこうやって尋ねるのは初めてなので少しだけ緊張している。手には余ったポッキーの袋をギュッと握りしめる。しばらくするとドアが開いてフロイドが現れた。
「あれ?小エビちゃんどうしたの。」
「あ、えっと…ちょっと用事がありまして。」
「ふーん…入る?」
「お邪魔します…!」
快く入れてくれたフロイドを見て、今の機嫌はよさそうだとホッ、と胸を撫で下ろす。同室のジェイドも今はいないみたいで、タイミング的にはバッチリである。
「それ、何?」
「…あ、これはポッキーです。」
「なにそれ~、陸のお菓子?」
「そうですよ、食べてみます?」
ポッキーの袋を開けてフロイドに渡せば、そのままパク、と食べられる。こういうのは普段からやらされているのでもう慣れたものである。そう、やらされていることが重要である。
「なにこれうっま。」
「美味しいですよね、私も好きなお菓子なんです。」
「ふ~ん…ジェイドにもあげよーっと。」
「あ、ちょ、ちょっと待った!!」
部屋から出ていこうとしたフロイドの服の裾を掴む。今日はフロイドに用事があってきたので、部屋からでられると困るのだ。ジェイドにも知られようものなら、僕もやりたいです、と言いかねない。
「んぇ?何、」
「あの、ジェイド先輩にあげに行く前に、私と1つゲームしませんか。」
「ゲームぅ?」
ポッキーゲームの説明を簡単に説明をする。さっきジェイドのところに行こうとしたフロイドを無理やり止めてしまったので機嫌が少し悪くなっていたのだが、ゲーム内容を聞いてみるみる笑顔になっていく。なんでこんなに様子を窺わなくちゃいけないんだ。
「いいよぉ、面白そうじゃん。てかそれってぇ、離さなきゃキスしちゃうじゃん。」
「うっ…そ、それはまぁどっちかが離したり折ったりしたらそんなことにはならないから!!」
「ふ~ん、オレは別に離さねぇけど。…まぁいいや、やろーよ。」
先行きがすでに不安だが、相手が乗り気なのでポッキーを口にくわえる。反対側を噛んで、という意味でフロイドにん、とやれば、ぐわ、と大きな口を開けてくわえてきた。いきなりくわえすぎてすでに至近距離になってるんですけど??