第3章 メイド服
~アズールver~
「これならどうでしょう。」
「……もう一声。」
モストロ・ラウンジの更衣室。アズールが店の売り上げを向上させるために私にメイド服を着せたい、と言い出して渋々バイト終わりに衣装合わせに付き合っている。しかしアズールが特注したメイド服はどれも露出が高いもので……こういうミニスカはなつきの担当じゃん。何でわざわざ私に着させようとしているんだろうか。
「いや、もう無理です。何のためにあなたに着せようと思っているんですか。僕は百歩譲って妥協できても、ウツボ達がなんていうか…」
「ううっ…だってスタイル良くないし…こんなの絶対似合いませんもん!!こんな女子っぽい恰好!!」
「着てみないと分からないじゃないですか。」
「むりっ!!!」
普段は学園長から支給された男子用の制服を着ている。オンボロ寮の中でもジャージ、もしくはズボンなどがほとんどだ。私がスカートを履くときは、無理やりなつきに履かされるくらいしかないだろう。
「はぁ………これ以上経費を削って新しい服を注文しろと?あなたは余程マイナスになった経費分の売り上げを取り戻せる自信があるようですね。」
「うっ…わ、分かりましたよ…着ますよ、着てきますよ!!」
「ああ、よかった無駄にならなくて。一番最初の露出が高い服はなつきさんにでも与えておきますのでご心配なく。」
与えておくって…アズールにとってあの子は一体何なんだ。アズールから妥協した方のメイド服をかっさらって更衣室のドアを閉める。あー、持ってるだけでもうわかるこの女子っぽいひらひらした感じ。何で男子ってこんな服が好きなんだろうか。絶対似合わないと思いながら袖を通しメイド服を着る。
「着替えてきましたよー…」
「どうですか、サイズは。」
「怖いぐらいにピッタリですよ~、凄いですね…見慣れなさ過ぎてって…アズール先輩!?メガネが…」
私が更衣室から出てきて、メガネの調整をしていたアズールの手からメガネが床に落ちた。大丈夫だろうか、ヒビが割れていたりしたら大変だ。