第8章 〇〇しないと出れない部屋
~ジャミルver~
「……起きろ、おい起きろ!」
「うわあっ!!」
怖い夢を見て飛び起きてしまった。目の前にはジャミル、どうやら寝ていた私を起こしてくれたらしい。でも、寝た記憶なんてないんだけどな…
「ジャミル先輩?どうして…ってここどこですか。」
「拉致られたらしい。さっきここの部屋を隅々まで調べたが、出口は鍵がかかってるあそこのドアのみだった。」
「なるほど…唯一の出口がふさがってるってわけね。」
「くそ…ピッキング道具を今日は持ってなかったのが仇になった。」
いつも持ってるって言うのも凄いけど。カリムのためだろうけど…学園に通っていてもそういう警戒を怠らないなんて…ジャミルはいつ休んでるんだろう。
「…ん、なんか落ちているぞ。」
「え?あ、ホントだ…」
「待て触るな。オレが取る。」
ドアの下に挟まってた紙を取ろうととしゃがむと、ジャミルに止められた。危険かもしれないからオレが取るってか。めっちゃイケメンじゃん。何事もなく紙を開いて中を読むジャミル。
「うわ……」
「なんて書いてあったんですか?」
げんなりとした様子で紙を見せてくれた。紙には『男性側が告白をしないと出れない部屋』とかいてあった。男性側が、というご丁寧な指定があるおかげで私は恥ずかしい思いをしなくてすんだ。
「オレが…?お前に告白だと?」
「そうですね。」
「くそっ……余裕な顔しやがって。」
ジャミルはとても嫌そうな顔をしている。別に私のことなんも思ってないならちゃっちゃと適当に愛を囁いてくれれば終わりなのに。