第8章 〇〇しないと出れない部屋
~トレイver~
「かな、起きてくれ。」
「ん…、」
目を開けるとそこには心配そうに私をのぞき込んでいるトレイがいた。私、いつの間にこんなところで寝ていたんだろうか。おかしいな、と思いながらもいつまでの寝っ転がっているわけにはいかないため起き上がる。
「どこも怪我無いか?」
「はい、大丈夫です。」
「…ここはどこなんだろうな?もう少しでお茶会が始まってしまうんだが…」
「私もなんかしてた気が…あっクルーウェル先生の課題……」
はは、それはヤバいな、なんて笑ってるトレイはそんなに困ってなさそうだ。それよりトレイのような落ち着いてる人と一緒でよかった。もし一緒なのが慌てるような人だったらこんなに冷静になってなかったと思う。
「それよりこの紙は一体何なんだ…?」
「あっ……それ、なんて書いてありますかっ!」
「ん?ええと…ツーショットを撮れ、と書いてあるぞ。」
ほっ……と胸を撫で下ろす。ここはおそらく○○しないと出れない部屋だろう。そしてこの紙はここから出られる条件が書かれたものだ。正直際どいようなお題じゃなくてよかったと思う。あまりピン、ときてなさそうなトレイにこの部屋の説明をすれば、安心したように笑った。
「じゃあつまり…かなと写真を撮ればここから出られるってことだろ?簡単なお題でよかったな。」
「はい、それは本当にもう…スマホなら持ってますし、さっそく撮りましょう!」
トレイとこうやって2人で撮るのは久しぶりな気がする。なんの躊躇もなくカメラを構えた私の横に来た。こういうのを見ると、多分トレイはケイトの自撮りに映ることに慣れてしまっていることが伺える。
ガチャ…
「あ、ドア開きましたね。」
「本当にあっさりと開くんだな。」
「さ、じゃあ出ましょ?」
私はクルーウェル先生の課題をやらなければいけないし、トレイもパーティーの用意があるだろう。もう少しお話ししていたい気持ちもあったが、早くここからも出たかったのでドアに手をかける。すると。後ろから私の手に覆いかぶさるようにトレイの手が重なった。